こんにちは。
神奈川・相模原の里山で自然農を営む「すどう農園」です。
「自然農を学ぶ農業体験・さとやま農学校」でも、秋に向けての仕込みが忙しい季節です。
旧暦だと、今夜の満月は7月15日だから、やや早めなのですが、この先は台風の季節でもあります。
予定通りに葉作業も進まないことでしょうから、少しづつ早めに前倒しでやっていく。早すぎたと思ったら、また繰り返せばよいだけです。日中の最高気温は高めですが、それでも夕方6時から午前9時頃までの15時間くらいは、だいぶ涼しくなってきました。最高気温にばかり気を取られて種まきを遅らせると、あとでしくじります。
冬どりタマネギの定植です。
本来、本州での玉ねぎは9月に種を蒔いて11月に定植、翌年6月に収穫です。
春に種を蒔いて冬に採るのは北海道の作付けです。これは北海道に梅雨がないので可能でした。
高温多雨を嫌うタマネギは、本土の梅雨時は難しい。
ところが十年ほど前くらいから北海道にも夏の雨が増えるようになりました。
年によっては北海道のタマネギの収穫も大打撃を受けるようになり、それまで冬のタマネギは北海道の独占だったのが穴が開いてきたため、春に蒔いて小さく育った球をいちど掘り上げて干し、夏の終わりに定植する作付けが本州でもはじまりました。
たとえば一本ネギは昔から関西で「干しネギ」という作付け方法があります。今は関東でも一般的になりましたが、あれと同じです。春巻き専用のタマネギの種も、かつては日本農産の独壇場だったのが、十年ほど前にタキイから「シャルム」がでて、今は他にも出てきているようです。たしかに、冬に新鮮なタマネギが採れるのは魅力的ですよね。
ただし、小球を暑い畑にいきなり植えるのは無理があります。タマネギが夏の太陽に灼けて死ぬことのないようにひと手間かけて植え付けます。あとはタマネギの場合、リン酸などの栄養分を欲しがりますが、市販の鶏糞は使わないほうが良いです。市販の鶏糞のほとんどは、餌が遺伝子組み換えの大豆やトウモロコシをメインにしたものであり、あるいは鶏そのものが抗生物質などの薬品漬けですから、そんな鶏の糞などは、全く素性の知れないものと考えた方が良いでしょう。
ちなみに、そうした鶏糞を使っていても有機JAS認証は取れるのです。そんな矛盾を感じて、すどう農園は有機JAS認証を十年以上前に返上しました。
7月の日照りで難儀したニンジンも、8月の雨でようやく小さいながらも出そろってきました。
自家採取のニンジンの種だけでは足りなくなったので、同じ「黒田五寸」の種を購入してまきました。
いずれにしても、採集した母本数がよほど多くないと、自家採取を続けているとだんだん近交弱勢といって、遺伝子集団の小ささが裏目に出てきますので、折々に新しい種を外部から入れるのは必要なことです。
手で蒔いているので、写真のようにムラがあります。ここから数回に分けて間引いていきます。こういう細かい作業を、草取りなどの作業の合間に入れていくと真夏の作業にメリハリが出ますね。
タカキビも色づいてきました。などと呑気なことを言っていると、鳥に先を越されます。
どうやら、いまのところ農園周辺の鳥はタカキビに面識がないらしくて、手羽られずにいますが、この味を一度覚えてしまったら、かなりシツコク攻撃してきます。いわゆる鳥よけネットなどかけても、その網目を強引に体をねじ込んで入ってくるのです。時に、こうして入ってきた鳥が出られなくなって、あるいは引っかかったままもがいていることもあります。これは法律で禁止されている「かすみ網」と同じことになってしまうので、要注意です。以前、キュウリの畑で、ネットにトンビが絡まって死んでいるのを観たときには、思わず瞑目、合掌してしまいました。トンビの命ばかりが貴いわけではないのですが、猛禽類はただでさえ数が減っているので・・・。
タカキビと並んで育っているアマランス。
私は学生時代の頃から庭で育てていたものですが、その頃からしても、まだまだ知られていません。
ヒエやアワのような収穫後の手間もかからないし、この葉も食べられるのですが、野菜は全般的に、普及するのには年月がかかります。いわゆるスーパーフードの類も、そのほとんどが一年かそこらの流行で忘れられていきますね。そもそも健康になるはずの食べ物に流行あること自体、どうしようもなく「不健康」だ。
今年も赤米が出穂しました。
国分寺から分けていただいた古代赤米も、すっかり農園の風土に馴染んでくれたのでないでしょうか。
病気や虫なども気にすることもなく、元気に育ってくれました。秋空に登熟した穂をだんだんと手刈りしていきます。
いつものことですが、古代米は一斉に登熟するのでなく、生物の生存戦略として、個々別々に熟してくるので、ほぼ毎回のように鎌で収穫をしていきます。
8月の雨に引き出されるように、ぐうっとオクラも背が伸びました。いつも通りの姿です。
ここまで育てば、もう手が届かなくなりますから先端を軽く切ります。この先は脇芽を伸ばして実をつけます。
「さとやま農学校」の卒業生の方が昨年の秋に種取りしたヒスイナスが、今年も熟して大きくなりました。もう一息。千両に豪などは交配品種なので種取りをしていくとだんだんと形質が親の血筋に近くなっていくのですが、このヒスイナスはどうなろうのでしょうか。ナスは化成肥料で育てたものは、いかにも水と肥料で力づくで大きく育てましたと言わんばかりの、大味の不味いものが多いです。自然農のナスは収量こそ多くはありませんが、小ぶりの実を採って、食べ比べてみれば違いは歴然です。
これから秋になって、じっくり育つ秋ナスも美味しいものです。
9月からは、さらに秋の葉物野菜の種まきも加速します。「さとやま農学校2023・秋のショートコース」でも、色々な葉物を作ります。ニンジンも9月に種を蒔いて年内に収穫できるミニキャロットを栽培します。どうぞお楽しみに。