こんにちは。
神奈川・相模原の里山で自然農を営む「すどう農園」です。
「首都圏から日帰りで自然農を学ぶ・さとやま農学校」の皆さんと昨日は草取り。
雨のおかげで、本当に楽になりました。昔ながらの夏に戻った感じです。
何しろ暦の上では立秋ですから、こんな涼しい気配があっても普通ですね。日中ですら、日陰に入れば涼しく作業ができます。昨日のブログでお伝えした柿渋づくりも、キウイの棚の下で快適に行いました。
上の写真は、ニンジンの種のまき直しの風景です。
この畝は、既にカヤツリグサとスベリヒユが凄い。この草は太陽熱処理をしても出てくるダイハードなメンツです。
そしてスベリヒユは、ご存じでしょうか?野菜でもあります。花の咲いていない若い芽を摘んで熱湯にくぐらせれば、あとは出し汁でも鰹節でも、なんでもござれ。山形ではヒョウと呼ばれる野菜です。モロヘイヤやオクラなどのヌメリのある野菜やナスと一緒にした「だし」は、暑いさなかでもご飯の進む郷土料理です。フランスでは、スベリヒユの一種である「タチスベリヒユ」をプルピエと言います。これも野菜。さらに余談ですがイタリアで「エルバ・ステラ(星の草)」と言えばオオバコの仲間です。これも野菜。都会の高級スーパーでも見かけます。
ことほどさように、国(地域)によって同じような植物が野草だったり雑草だったり、野菜になったり、カテゴリーが変わるものです。自給菜園をすると、色々なものが美味しく食べられることに気づきます。大量生産・大量消費・画一化の市場流通では切り捨てられた宝物があります。
そのスベリヒユのおかげで、畝は日陰になり、これまでの厳しい猛暑の直射を防いでくれました。しかもスベリヒユは太い茎や暑い葉に水分を蓄えているので、それだけ比熱が大きい。この点でも高温を和らげてくれます。自然界というのは、だから「草が生える」と表現するべきなのか、あるいは大地が「草を生やす」とみるべきなのか、あるいはそもそも主客混然となって育ちあうのか…私にはむしろ最後の関係性がしっくりきます。じっと眺めていると、本当にそう思えます。
そうして大事なこと。
スベリヒユを短く刈り込んでみると、そこかしこに小さなニンジンがひっそりと生えています。
まったく草のない状態では、たとえ燻炭でカバーしていても太陽に焼かれて絶えてしまったニンジンの種が、スベリヒユのおかげでこうして「草葉の陰」から生えているのです。なので、今回もスベリヒユは根絶やしにしません。あくまでも短く刈り込んで、新しくニンジンの種もまき、既に芽生えたニンジンは大事にしながら育ちあう関係を続けます。こんな手間のかかる真似はプロの農家ではできません。あくまで自然農の自給菜園だからできる醍醐味なのです。
草を敵としない、というのは自然農の大原則ですが、厄介な草もあります。そうして今回のように、敵どころか大事な仲間の草もあります。これは頭で理解するのは無理です。実際に種を蒔いて、猛暑にやられて、その中でも生きているイノチを確かめること。そのリアリティが何より大事なのです。
秋からの「さとやま農学校・秋のショートコース」でも、何よりリアリティを大事に講座を進めます。
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