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里山でアグロフォレストリー@さとやま草木譜

里山のアグロフォレストリーの始まり@すどう農園
里山のアグロフォレストリーの始まり@すどう農園

こんにちは。

神奈川・相模原の里山でアグロフォレストリーの自然農を営む「すどう農園」です。

・・・なんだか自己紹介のフレーズがだんだん長くなってきましたね(笑)


私たち自然農にとって、原点は土です。その土は、元をたどれば十万年単位の時間をかけて森がつくってくれた有機物の蓄積によるものです。森があってこそ農業は成り立つのです。森を切り開いて、その遺産とも言うべき表土をかく乱し続ける農業は、ひたすら収奪するばかりで、そこに未来はありません。

森に戻る、というのがここ数年の「すどう農園」の方向であり、それはまた未来に何かを残し、つながるという意味でもあります。私自身は、農園という器を大きく広げることにはまったく興味ありません。それよりも未来に何を残せるか。
その想いを基本に「さとやま草木譜」を始めました。「自給のための野菜づくりを学ぶ・さとやま農学校」と二本立ての体制ですが、基本は同じなのです。ただ、苗木を植えて、それが大きく育つには年月もかかりますから、その辺の構えは野菜づくりとは違ってきますね。

 

上の写真は、柿の樹を拠点に、そこから広がる一歩を作ったところです。
外から宿根草の根の侵入を防ぐために古い瓦を使いました。瓦も、もとは土ですから良い感じです。
柿の樹は、とても糖度の高い果実をつくり、それが落ちて土に還る途中で酵母菌を中心とした微生物の餌になります。太陽のエネルギーで光合成をおこない、それが糖分たっぷりの果実になり、鳥を招き、鳥は同時に虫もついばみ、あるいは糞をして土に栄養を施す。果実も落果して微生物や昆虫を養う。あるいは糖が酢酸醗酵して酢になり、非常に根に吸収されやすいものとしてまた根に吸収されていきます。無限に降り注ぐ太陽のエネルギーをもとに肥沃な土壌を再生産し、自律的に循環する小宇宙があるのです。もちろん無農薬栽培の話です。農薬を使ったら循環の輪が断ち切られてしまいますからアウトです。

そんな柿の木は、日本の里山でアグロフォレストリー(森を基本にした農業)を始める場所として適切と思います。アグロフォレストリーというと、ブラジルのオーガニックコーヒー園のような熱帯のイメージが大きいですが、私たち里山の伝統的な農業でも、それこそ柿の木の下でミョウガを育てるなどしてきました。伝統的な知恵とは、洋の東西を問わず、そのベースは通じているのです。考えてみれば当然のことですね。

ワイルドストロベリーの育て方@すどう農園
ワイルドストロベリー@すどう農園

「森のイチゴ」ワイルドストロベリーを定植しました。
柿の木の下の土は、落ち葉が積み重なってフワフワのベッドのようです。去年の柿の実のヘタも残っていました。
さとやま草木譜は少人数でやっているので、まずはこの土を全身で感じて欲しい。

パーマカルチャーを神奈川の里山で学ぶ@すどう農園
アグロフォレストリーにはパーマカルチャーのコンセプトが大事になります@すどう農園

落ち葉を掻きわけて、表土を触り、土の様子を観察。
ひたすら手で触る。土のにおいを嗅ぐ。五感で感じるのが大事です。

不耕起栽培@すどう農園
自然農の不耕起栽培では宿根草の扱いを考える@すどう農園

宿根草の根っこがあとからあとから出てきます。
宿根草、という名前の植物があるわけでなく、この世に太い地下茎に栄養を蓄えて冬を越す多年生のメンバーです。
しいていえば、竹なども宿根草の部類ですね。他にはヨモギやドクダミ、スギナ(ツクシ)、ウドなども仲間と考えていいでしょう。ウドのような食べられる植物ならば栽培が簡単でよいのですが、食用にならないメンバーは土中の空間をしっかり独占してしまいます。非常に空気が苦しい感じになる。それで、こうして掘り返して土に気を入れてあげる作業が必要になるのです。いわゆる不耕起栽培も、気をつけないとこうした宿根草がはびこって大変なことになります。何が何でも耕さない、という決めつけでなく、土の様子を見て柔軟に対応することです。

土中環境を学ぶ@すどう農園
苗木の定植の前に深く穴を掘って気を通し土中中環境を整える@さとやま草木譜・すどう農園

ところが、そうした宿根草を食べにイノシシがやってきて土を掘り返していきます。

傍目には、大変な荒れ方ですが、これは今の見方によれば、むしろ空気の滞っていた土を、宿根草を食べることでエアレーションしてくれたのだと思えます。実際、イノシシが掘り返した土の後は非常に良い感じなのです。

そこで、イノシシが掘った後に果樹(洋ナシ)を植えました。

さっきの柿の木と数メートル離れただけで土の感じが違います。これも掘ってみるとリアルにわかります。普段は深い穴を掘ることもないので、こういうシンプルな作業も大事です。関東の土(ローム層)は、丹沢や富士山などの火山灰に植物の腐植が重なって、このような黒い色になっています。それだけに水はけがよいというか、時には水持ちが悪いとすら思える時もある。それで、表土は剥き出しにしないで有機物でカバーをしてあげます。刈った草をその場に敷いていくことの繰り返しでもいいです。あんまり敷きすぎると、その下に集まるミミズを食べにきて、そのとばっちりで植えたばかりの苗木が倒されることもあります。

土中環境と自然農を学ぶ@さとやま草木譜・すどう農園
土中から地表まで整えて苗木(アケビ)を植える@さとやま草木譜・すどう農園

こちらはアケビの定植。

冬に切った桑の枝を挿しておきます。枝はいずれ腐るでしょうから、その時にはまた新しい枝を挿し替えてあげます。

 

今の新緑に季節は、目くるめく里山世界を味わうには絶好です。
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