こんにちは。
神奈川・相模原の里山で自然農に取り組む「すどう農園」です。
今年は、ずいぶんたくさんの苗木を植えました。
脚立に昇らずに世話のできる低木・コンパクトな仕立て方と、生物多様性のある農的空間づくりという視点から、樹間をやや小さく取り、そのぶん低木も組み合わせた農的空間にしています。いわゆるアグロフォレストリーは、バナナやコーヒーなど、換金作物ばかり育てるモノカルチャーからの転換を図って生まれた発想・農法ですが、いわば日本の里山も、そうしたアグロフォレストリーに通じる部分が多いものです。いまでこそ野菜は平地のものがメインで、それ以外は「山菜」とされていますが、古代の野菜とはつまりほとんどが山菜の類でした。何しろ日本の殆どは森です。山が多くて水が豊かな気候風土は、雨の日や日陰でも育ちやすい山菜を主に食べていたようです。手間をかけずとも自然に生えてくるもの、例えばフキやヨモギに代表されるような、今でも野に自生している物が多いですね。すどう農園でもフキやヨモギ、ウルイなどを育てているのは、もともと気候風土にあったものだからです。南米由来のトマトやカボチャも美味しいですが、どちらかといえば地味なイメージの古来の野菜も大事にしていきたいのです。そして上の写真も、そのひとつです。なんだか分かりますか?
答えはこちら、オニグルミです。
植え付けたときのダメージ二寒さが加わって、ちょっと早めに葉が枯れて落葉です。
この枝が付け根からポキっと取れた断面が、一枚目の写真です。何かの顔のようですね。こうした植物の表情の面白さは植物観察家の鈴木純さんに教わりました。今や売れっ子ですね。
ローズヒップのもとになるワイルドローズです。今年は豊作。この人はもともと乾燥地帯が好きなのでしょう、このあたりは地下水位が高いので、なかなか育ちにくい年月がかかりました。ここまで育ってくれば、後は強いはず。ただし、この実からローズヒップにするまでが、簡単ではないのです。その様子は、また加工場でレポートします。
サフランはちょっと遅めかな。咲いて間もない花をお茶にできます。サフランの花の季節は短いですが、ちなみに暗い物置でもサフランは咲くそうです。そういう光景を見たと聞きました。ちょっと怖い感じもします。
今日驚いたのは、ウメの狂い咲き。ここ数年、毎年どこかで何かが変な季節外れの花を咲かせるものです。そういえばヘビイチゴも今どき実をつけています。さすがにウメは満開ではないけれど、3ヶ月早い・・・。
このピーマンはタネ取り用です。前の年に畑にこぼれた状態から生えてきた「自生えピーマン」です。この農園の土地に適したものとして、大事に種を継いでいきます。熟して真っ赤になってくれるのも嬉しいですね。大抵のピーマンは、緑の未熟なものを食べるわけですから、熟すと中途半端な色合いになります。真っ赤に熟してくれたほうが旨味もあります。
秋ジャガイモの試し掘り。アンデスレッドです。いい感じ。この一部は来年の春の種ジャガイモにします。これからはほか起動の種ジャガイモは、何がどれだけ手に入るか不透明な時代になりました。まったくゼロということではないでしょうが(・・・たぶん)、しかし備えておくことが大事です。そして今回は春にジャガイモを植えた畝で秋ジャガイモを連作しています。恐る恐るですが、どうやらできてきた様子です。
ネギも旬を迎えます。株ネギが土寄せのたびに増えてくるようで嬉しい。サクサクと草を削りながら土を寄せます。夏草が柔らかい腐植になったところも、一緒に株元に寄せていきます。夏と違って、今のクワ仕事はとても楽で楽しい。サクサクと土を削るクワの手応えがたまらなく良いのです。こうした、ささやかな心地よさが農作業の魅力です。何十年繰り返しても飽きません。
そんな五感に響く農的世界の楽しさを、一緒に体験してみませんか。
「自給のための自然農を学ぶ野菜づくり教室・さとやま農学校2023コース」の説明会も今月から始まります。だいぶ予約も埋まってきましたので、どうぞお早めにお申し込みください。