こんにちは。
神奈川・相模原の里山(相模湖)で自然農を営む「すどう農園」です。
非常に晴れやかな秋空のもと「さとやま草木譜」を再開しました。
7月以来の講座は「森に来るのが待ち遠しかった」という方や、遠路はるばる見えた方もいらして、ちょっと身の引き締まる思いでした。
森づくり系の講座は、いま各地で広がってきて、20人や30人ときには100人超えと、参加される方が多いことによって森も元気になるのは良いことです。ただ、静かにゆっくり樹を植えたい、土を触りたい人には、都会と同じような疎外観を感じてしまうこともあります。実は私もそうです。
海外協力の仕事をしていた頃から人を募る現場に関わって数十年になりますが、やはり直感的に交流できる人数というのは私にとては7人がマックスと感じます。それ以上になると、例えば「さとやま農学校」は、一回あたりの受講生が20人近くになりますが、何度も続けて顔を合わせる必要がありますね。だから「さとやま草木譜」ならではの、静かに長く続けるスタイルは皆さん全員と話ができる範囲で、大事に続けていこうと思います。
広い農園にゆっくりと苗の植え穴を掘っていきます。植え穴の位置決めは、先日のブログで書いたように青柳ひづるさんが決めてくださったので、今日もまた青柳さんにスタッフ参加をしていただきながら段取りを進めました。本当にこの方は、プロのダンサーとして舞台を踏んでいるだけあって、空気の読み方が絶妙です。人の輪を作ったり、あるいはすうっと気配を消してみたり。さすがはプロだなあと舌を巻きました。
穴掘りは、自分の気を地球の中心に下ろしていくイメージです。スコップを畑に差し込んでいく呼吸、はじめは慣れないけれど、段々と身体の間隔が開けてきます。これが楽しい。コロナで自粛しきった現代には、こうした五感を開く作業がとても必要なことと思います。でも、少人数でゆっくり大地と対話できる場所が、非常に少ないのが現状ですね。
深く掘った穴の中の土は表面の土つまり有機物がメインのものとは様相が違います。そんなことも感じて欲しいのです。ただ樹木の苗を植えるための穴掘りではなく、地球そのものとの対話。これは大げさな言い方ではありません。夏の廣田さんのワークショップで焼いた竹炭を植え穴に入れて、段々と埋め戻していきます。植えた後は、樹木の周囲を整える。カタチの問題ではなくて、植えた人が「なんか整ったなあ」と感じられるかどうかです。この感覚が、何度も繰り返すようですが大事なのです。この数年、コロナを巡る社会のあり方はとにかく人間に「感じるな・閉じろ」と暗黙のメッセージを送り続けてきました、周囲に同調してしまう日本人には、とりわけその弊害が厳しい。おそらくこれからもジワジワと影響が出てくるでしょう。だから少しでも隙間を見つけて、根を伸ばすことが大事です。
ランチタイムには農園の近くの林道を歩きました。思いがけないプレゼントは、これ。なんだか分かりますか?キウイではありません。サルナシです。足元や頭上に注意が向けるのは簡単ではないのですが、今日参加された皆さん、五感が敏いです。
野菜以外のハーブや工芸作物、果樹、樹木を幅広く出会っていくのが「さとやま草木譜」の目指すところでもありますので、最後はさとやま農学校の卒業生の方にお願いして和棉や藍の説明をしていただきました。和棉は、近日中にブログでも取り上げますが、収穫の盛りです。台風にも負けずに、しっかりとコットンボールが弾けてきたところを「和棉サークル(農学校の自主サークル)」の皆さんがコツコツと収穫しています。
最後は「さとやま農学校」の区画で藍の様子も見学。すでに3番刈りまで終えて、種をつけ始めています。
非常に膨大で豊かな里山の植物世界は、かつての日本列島の衣食住そしてエネルギーも賄ってくれました。昔に戻るということではなく、しかし目の前にあふれる自然の恵みを、ほんの一部も使い切れていないもどかしさを切実に感じます。もっともっと、一緒に里山で手を動かし、口を動かす人が増えてほしいものです。もう都会は沢山でしょう?
さとやま草木譜の次回は10月27日の予定です。詳細はメールマガジンで告知します。どうぞ購読なさってください。
さとやま農学校2023コース現地説明会も始まっています。詳しい日程とお申し込みは、下のボタンからどうぞ。