こんにちは。
神奈川・相模原の里山(相模湖)で自然農を営む「すどう農園」です。
「自給のための自然農を学ぶ農業体験・さとやま農学校」でも、サツマイモの苗の植え付けが始まりました。
宮古島に暮らしていた頃は「サツマイモ」とは呼ばずに「イモ」といえばこのサツマイモでした。
確かに歴史的には原産地のアメリカ大陸からヨーロッパ、中国を経て、さらに琉球から薩摩に伝わったわけですからね。あの頃は島のあちらこちらにイモ畑が広がっていて、季節になると茎を摘んで日陰で数日おいて発根させて、その苗をブスブスと畑に植え付けました。沖縄では、イモは準主食の位置づけなので、季節になると、食卓には毎回イモがある感じで、ふかしたところをパクパクといただきました。いかにも身土不二そのもので、いくら食べていても飽きないのです。
あるとき、なんと「焼き芋」の屋台のトラックが来たので飛びついて食べました。ただし品種が紫色のねっとり系だったものだから、あの焼き芋のほっくりした食感とは対極のもので、コレばかりは寂しい気持ちになったものです。でも今は本土でも、こうしたねっとり系の焼き芋が流行っていますね。そういうものと分かっていて食べれば美味しいですが。
落ち葉の循環と自然農
サツマイモの畝は、昨年使ったものを直しながら使います。
サツマイモに限らず自然農では畝はずうっと直しながら使います。冬に集めた落ち葉を通路に敷き詰めました。
この落ち葉は通路の表面に薄いながらも生命のコミュニティを作ってくれます。来年になれば土に還り、その土を使って畝を直してまたサツマイモを植え付けます。太陽のエネルギーが樹を育てて、それが落ち葉を降り注ぎ、その落ち葉が畑の恵みになる。里山ならではの循環ですが、平野部でもかつての農家さんの庭先には屋敷林というものがあって、冬の木枯らしを遮り、落ち葉をたっぷり恵んでくれました。今もまだ残っているものもありますが、宅地化が進むと枝や落ち葉が近隣の邪魔になるので伐採されることも多い。貴重な循環システムが断ち切られてしまうのです。
だから、もう一度、小さいながらも循環の仕組みを随所に育てていこうではありませんか。この二年間で化学肥料の価格は、高いものでは3倍になったそうです。世界最大の輸出国がロシアであると聞けば、なおさら先行きは懸念されます。外国の地下資源に頼る食料自給というのは、最終生産地(畑)が国内であるというだけで、本質的な自給とは言えないでしょう。
森の生み出す「物事」は、落ち葉に限らず、多様にして膨大です。
いま私たち自然農は、お互いのできる範囲で、森に還る・森を創る時代に入りました。「さとやま農学校」として「さとやま草木譜」を始めるのは、そのような出発点に立ったものです。