こんにちは。
神奈川の里山で自然農を営む「すどう農園」です。
年末からの落ち葉かきがまだ続いています。
もう踏み込み温床を作らなければいけないタイミングなのですが、ちょっと遅れがち。
まったく人の入らない廃道のような林道で落ち葉を集めます。
これが里山ならではの恵みです。
軽トラックで何度も往復して農園に落ち葉を運び、踏み込んで醗酵させるときの熱で苗を育てます。
江戸時代にも温床は既にあって、当時はビニールの代わりに油紙で天井をつくって早出しのナスなど育てたそうです。
江戸の庶民は早い物好きだったので、初物のナスにはものすごい値段がついたとか、それが幕府からお咎めを受けたとか、そういう話もあるようです。
すどう農園は別に早出しを狙うわけではないのですが、春先は非常に気温が不安定です。四月の遅霜や五月の花冷えも怖い。しっかり根の張った丈夫な苗にして定植します。
こちらは別の場所です。やはり人の手が入らなくなった場所。
クズの太い根っこがコンクリートを割って生えていたりします。それらをノコギリで切ってからの落ち葉かきです。
落ち葉の下の層は既に腐葉土になりつつあるので、これは踏み込み温床でなく、ふるって苗土にします。
落ち葉には、鉄などの貴重なミネラルがたっぷり含まれているので、腐葉土もとても大事。
野菜の味を左右するのはミネラル成分です。
「窒素・リン酸・カリウム」ばかりの化学肥料は、あくまでの細胞のなかを増やすだけでミネラルの補給にはなりません。だから体は大きくとも水っぽい大味なのです。
循環農法との出会い
「循環農法」という言葉をはじめて聞いたのが、20年以上前になります。
千葉の三里塚で有機栽培をされている小泉さんが「小泉循環農園」というのをお始めになったときでした。
トラクターをかけるとミミズが轢かれて行く、そんな光景にも心を痛めていた小泉さんならではのことと思いました。
いまやはり抗して里山に暮らすと、野菜をつくるということだけでなく、もっとホリスティックに、様々な物事が循環する様子が体で感じられるし、あるいは循環が途切れてしまった様子もありありと分かります。
いまできることは、ひとつでも、途切れた循環を修復していくことでしょうか。それをまた別の人が、その人なりの形で続けてもらえれば良いのでしょう。
放線菌は、里山の恵み
篠竹の藪をかき分けて落ち葉を集めていると、いつも出会うのが、放線菌のコロニーです。
カビのように白くて平べったいものが、時には畳くらいの広さに広がっています。カビとは違ってもう少しフェルトのような手触りです。これも大事な土着菌なので、落ち葉と一所に集めて踏み込み温床に使います。放線菌も色々な種類があるようですが、そのなかには抗生物質をつくってくれるものもあるそうです。