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ナラ枯れの里山

ナラ枯れの山・2021年8月の神奈川県相模原市
ナラ枯れの山・2021年8月の神奈川県相模原市

ナラ枯れが広がっています。
夏の山に紅葉のように点在する風景が異様です。
由々しき事態ですが「何が原因でどうすればいいか」といった単線系の因果律にもとづく処方は、そのような考え方がそもそも、無数の因果が多変数で相乗作用する自然界では簡単には通用しないと私は思っています。
お隣りの藤野を拠点に漆器の販売をてがける高浜あゆみさんとナラ枯れの現場に入りました。
漆をこよなく愛するあゆみさんは、遠くニューヨークまで漆器の販売会に出向くほどのアクティブな方で、今広がるナラ枯れの問題になんとかご自身の立場でコミットできないかという想いから、まずは豪雨の少し収まった森へ。我が家のすぐ裏なのです。

同じ藤野の木工作家の吉澤さんにもご同行いただいて森に入ります。
森に入ればすぐ、そこかしこに枯れつつあるナラが、悲しいほど次々に見えてきます。

ナラ枯れが原因かどうかわかりませんが、すでに倒れている樹、あるいは根本に食われつつある痕跡など、大雨の中での痛々しい光景です。日本の国土の約7割から8割が里山、森林ですが、人間の殆どは平野部で、なおかつ日本の人口の約3割は関東平野に住んでいます。不均衡もかなりなものですが、里山に暮らす人間が何をどのように伝えられるか、智慧の絞りどころ。
高浜さんは、ナラ枯れの材の中から生命力のあるところだけでも漆器に行かせないかと、コーディネイトをお始めになるようです。こうして川下の人が森に遡ってくるのはとても大事なことです。
ナラ枯れから漆に続く話は、今後も続けますので、見守ってください。