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ホウレンソウの性

無農薬の野菜作り教室・さとやま農学校@すどう農園
無農薬の野菜作り教室・さとやま農学校@すどう農園

菜の花と入れ違いにクリムゾンクローバーの咲き乱れる季節が始まりました。
花の色と香りに埋もれる季節。
年々、クローバーも勢いを増してきていて、初めて種を蒔いた頃とはだいぶ様変わりしました。

こんにちは。

神奈川で自然栽培の野菜作りと講座を開催している「すどう農園」です。

妙に季節が前がかりだった春先から一転して、寒の戻りが厳しいこの頃です。
油断して早植えした苗がだいぶやられています。今年もさっそく経験値が上がりました。やれやれ。

それはそれとして、畝の立て直し。
一度立てた畝をそのまま使っていくのが基本ですが、それでも収穫や何やらで畝が崩れてしまうこともあります。さらに昨今の豪雨に対応して、できるだけ畝は高くしています。毎回のクワ仕事で、皆さんすでにだいぶ慣れてきました。今梅雨入り前に道具遣いを慣れておくことが、この先になって無駄な体力の消耗や腰痛を避けるためにも重要です。

ホウレンソウ
ホウレンソウの無農薬栽培を学ぶ@さとやま農学校・すどう農園

去年の秋に「さとやま農学校ショートコース」で蒔いたホウレンソウが蕾をつけ始めています。
ホウレンソウの性は5種類ある話は、これまでもブログで書いてきましたし、あるいは動画もアップしました。
さとやま農学校」でも反応がビビッドに来る話題です。つまりホウレンソウには雄株と雌株があり、その両方の性格を持つ両性株、さらに両性よりも雌に近いもの、雄に近いものがあるということです。実際に収穫までのホウレンソウでは区別も判断できなしので、種を取るのであれば育ちの良い株を多めに取っておく。その中のどれかが雄と雌であるという確率で種を取るわけです。

ホウレンソウの無農薬栽培を学ぶ@さとやま農学校・すどう農園
ホウレンソウの無農薬栽培を学ぶ@さとやま農学校・すどう農園

どうしてそんな性別なのか、という問いかけをしたくなるところですが、そもそも進化の過程に「どうして?」という問いかけは成り立ちません。

 

たとえば「どうしてキリンの首は長いのか?」という問いかけが成り立たないのと同じです。

一般的に「どうして」という問いかけには「何々のため」という対句が必要です。あくまでもキリンの首は、選択淘汰の過程で現状のようになったものです。ですから、そのことを問うならば「どうして」ではなくて「どのようにして」と問うべきところです。決して「首を長くすれば有利だろう」とキリンが考えたわけではないのですから。

 

生物の進化については「生存戦略」という言葉がよく使われますが、これがそもそも誤解のもとです。

いかにも生物それぞれが生き残るために自分の身体を変化させてきたかのように思われますが、あくまでも遺伝子レベルでのランダムかつ微細な変異が長い年月で繰り返される結果として、今のような多様な生物世界があります。

 

繰り返しますが、目的があってそれぞれの形を成したのではなく、あくまでも選択淘汰の結果です。

そして大事なことは、私たち地球上の生物にとって、この進化は決して完成形・最終形ではないということ。

まだまだ進化・変化していきます。

だからホウレンソウの性別も、この先どのようになるのか、それはわかりません。

人間だって、この先何億年もしたらどんな形になっているか、あるいはネアンデルタール人のように滅びているか。

 

 

生きることには目的がある、そして幸福こそが至上の目的である。

とするのは「西洋知」の祖・アリストテレス以来の西洋人の考え方の基本というか「癖」です。

それでは幸福とは何なのか、ということを二千年かけてずうっと思索をしてきているわけですね。

 

しかし、生物の進化に目的はありません。

あくまでも成るべくしてここまできた。そうしてこの先もなるようになっていく。

このことを理論的にアルゴリズムという考え方で説明したのがチューリングでした。

それ以前のダーウィンの時代には「ただの選択淘汰でこんなに精緻な生き物ができるはずがない」という批判にさらされたわけです。

 

 

生きることに目的はない。

これは大事なことと思います。

 

そうして少しばかり、気が楽になりませんか?