こんにちは。
神奈川・相模原(相模湖)で自然栽培の野菜やハーブを育てながら農的暮らしの講座を開催している「すどう農園」です。
珍しく台風のない9月。9月に台風が上陸しないのは11年ぶりと言われていましたが、不意に12号が発生しました。不意に、とは言っても海面の温度がしっかり暖かいのだから当然のことです。いつものように台風対策。
飛びそうなものは予め片付ける。大事な苗をまず一番に守る。ひとつづつ、淡々と進めます。
今回は台風が相模湖の東側を通る、つまり北側から風が吹くということで北側を守ります。青いネットは防風ネット。目合いが5ミリなので、秋のコオロギ除けの防風ネットにも使えます。近頃はネットの上から網目越しに卵を産み付けていくガの仲間も増えてきたので、防風ネットよりは目合いが細かい(1ミリ)防虫ネットもしくは不織布を使っています。
防風ネットを二重にして張ると、高さがおよそ150センチになりました。垂直な遮蔽物が風を減速させる効果は、こうした遮蔽物の高さに対して水平方向に20倍の風下まで効果があるそうです。つまり今回は30m先まで減速効果があるということになります。しかも育苗の防虫ネットの上にもかけていますから、何とかいつものように防いでくれようかと思います。
何年もこういう作業を繰り返していると、どこかで隙が出そうな気もしますが、そもそも秋の台風シーズンに吹き飛ばされて困るような作型をだんだん避けるように農作業のスタイルを変化させてきました。空の環境が変わっているのだから人間の畑づくりも、それなりに変化・適応していくことが必要になります。とりわけ露地栽培のトマトはもともと難しかったものですが、長雨や豪雨の増加でさらに難しくなってきています。今年の「さとやま農学校」でも同じ品種のトマトをハウスと露地で作ってみましたが、まるで別物の育ち方でした。これからは自給用でも、しっかり雨対策をした作り方が必要ですね。
ここ数年で変わってきた野菜作りの傾向と、その一方で私たち人間のほうも、農的暮らしへの動きがシフトしてきています。農学校に来る人も、移住希望者がかなり増えています。このトレンドは、都会にいれば見えないほどの少数派かもしれませんが、相模湖のような都会の縁にいるとかえって流れがよく見えます。
これまでは移住というと、ある程度まなじりを決して「いくぞ!」という感じでしたが、ごくごく普通の方々が思うところあってシフトし始めたという感じも増えてきています。人生の選択肢の一つに珍しくないポジションを取るようになりました。コロナでリモートワークも進み、それでいて家の外でのびのびできる場所がない、昨年の台風では大都会での自然災害のリスクもくっきり見えてきた、動くことのリスクもあれば動かないこと(不作為)のリスクもある。
その辺のバランスの見方に正解はありませんし、正解のないところを迷い迷い行くのも愉しいものです。