固定種のブロッコリーは花の時期が多様
無農薬・自然栽培のブロッコリーやカリフラワーの収穫をしました。夏の暑い時期に、虫を避けるために防虫ネットをかけて、強すぎる太陽をさえぎるために寒冷紗の半日陰で苗を養生します。台風の時にはまた苗に防風ネットを懸けますが、あんまりネットをかけすぎても今年のような長雨は日照の不足で徒長します。とにかく手間がかかります。
こんにちは。
神奈川・相模原(相模湖)で自然栽培の野菜やハーブを育てながら農的暮らしの楽しさをお伝えしている「すどう農園」です。
11月の深々とした空の下の畑は、仕事という言葉でくくれない時空間です。空と土の間に独りでいるひととき。大変な夏と大変な台風のあとだっただけに、そしてこの先の冬もどうなるかわからないけれども、今ここだけは確かに幸せです。
明日の「さとやま農学校」のランチの野菜を畑で見つくろう。ブロッコリー、からし菜、ダイコン、ルッコラ、ケールあれこれあって迷う時期です。今どきはざっくり25種類ほどの収穫があります。たくさん種類がありすぎてもランチを作って下さる早川さんが大変なので「作り切れない分はご家族で食べてくださいね」とお渡しします。
ブロッコリやカリフラワーは花蕾(つぼみ)の集まりを食べます。今年のように暖かい秋は、よそ見をしていると花蕾が少しづつ黄色い可愛い花を咲かせます。慌ててそこだけハサミを入れて収穫。菜花でもブロッコリーでもカリフラワーでも、蕾は、ぐうっと精力のみなぎってきた頃合いを見て食べるのが美味しい。いまは品種改良された交配種のブロッコリーがほとんどで、日本の種苗会社による品種が世界のシェアの7割以上を占めていると聞きました。伝統的に日本の種苗はアブラナ科が得意なようです。こうした交配種のブロッコリーは店頭での「棚もち」がいいように品種改良されています。つまり花蕾ががっちり詰まっていて、なかなか花が咲かないタイプ。逆に昔ながらの固定種のブロッコリー「ドシコ」などは、花の咲きだすのが早い。そしてそのタイミングも多様です。あえて不揃いとは言いません。不ぞろいという表現は人間というか農家目線のもの。ブロッコリー自体は生き残るリスクを軽減するために花のタイミングをずらしているわけですからね。すなわち生存戦略として大事なのです。同じ時期に一斉に花が咲いて、もしも台風や霜、虫の害などが集中したら全滅しかねません。タイミングを多様にすることで誰かが生き残って、種を維持していく。それが至上命題なのです。
ケールの美味しい食べ方
今年の「さとやま農学校」ではケールをいろいろと栽培しています。はじめに書いたように、8月のお盆を過ぎてからのブロッコリーやキャベツ、白菜などのアブラナ科の育苗は非常に大変です。とりわけキャベツや白菜などは人間がかなり改良して「結球」という自然界にはなかなか出てこないキャラクターまで加えてしまった。かなり人工的な植物です。極端なたとえですが狼をダックスフントにまで改良した、それくらいの存在。だからこんな異常気象のときには、ケールやコラードなどの野生に近い品種も手掛けてみようと思ったわけです。ちなみにキャベツの故郷は地中海沿岸のあたりと言われています。もともとは結球していたわけではなくてケールのように葉をのびのびと広げて育っていた。今育てている「カーボロ・ネロ(イタリア語で黒いキャベツ)」が、まさに野生種です。
ケールの食べ方というと日本では青汁やスムージーとなってしまうのでしょうか?その時代は過ぎつつあるかな。ご覧のようにケールは非常に多様な品種があって、色合いや葉の形、カールの仕方や葉の縁の刻みなど、眺めているとうっとりしてきます。できるだけ目で楽しんでから食べたい野菜です。縮緬のようにちじれた葉はドレッシングやソースが絡めやすいのです。寒さにも強いから、春になばなが咲くまで楽しめます。もちろんケールのなばなも美味しいことでしょうね。ここで育てているケールはすべて固定種ですので、種取りの分だけ残して、少し頂きたいと思っています。
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