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緑肥を活かす自然栽培

自然栽培の緑肥@すどう農園
アカザは、自然栽培の大事な緑肥です

こんにちは。

神奈川で自然栽培をしながら都会の皆さんに農的暮らしをご紹介する講座を開催している「すどう農園」です。


外来種のオオブタクサが今年も、3mを越えるほど伸びました。

なかなかすごい光景ですし、日本のy促成を乱すものとして非常に警戒が必要なのですが、別の見方をすればこれは大事な緑肥です。

そもそも不思議と思いませんか? 

動物のような骨もない、昆虫のような外骨格もない植物が、しかも樹木のような固い樹皮すらない柔らかい身体で、こんなに重たい身体が立っていられるのは?

植物の体には、骨はないけれども細胞壁があります(動物には細胞壁はありません)。その細胞壁が、体を支えるための大きな役割を果たしています。その細胞壁は炭水化物でできています。

「炭水化物」とは絶妙な日本語で、まさに炭(炭素)と水の化合物。たっぷり降ってくる雨を吸い上げて、空気中の二酸化炭素から炭素を吸い込み、こうして炭水化物に固定します。

ここまでは人間が介在する余地はほとんどありません。
しいて言えば、オオブタクサが生えやすいように、ほかの植物はできるだけ刈っておくくらい。ある程度生えてしまえば、もうほかの草は生えてくる余地がありません。すごい光景のようですが、実は秩序だった群落と言えます。しかも単位面積当たりの炭水化物は、イネ科などの草に比べてはるかに重量があります。生産効率がいいのです。

そろそろ梅雨明けなので、鎌ひとつ持って刈り払いにかかります。これだけ背が高いと、ヘタに刈り払い機でやるよりも、鎌で刈って倒れる方向を片手で誘導したほうがいい。燃料代もかかりませんし。梅雨の間に鬱屈した汗もしっかり出て行ってくれるので、身体もだんだんと夏モードに慣れていきます。ただし、梅雨の低温になれた身体には、この暑さはこたえます。しばらく心拍が収まらない。やりすぎは危ないかな。

自然栽培@すどう農園
刈り倒したアカザは、土を活かす大事な緑肥。

花をつけていないうちに倒したオオブタクサは、トマトの株元に敷いていきます。様々な効果があります。
草を抑える。乾燥を防ぐ。腐植が微生物や昆虫、腐朽菌などの生息するコミュニティーとなり、やがてオオブタクサも分解されていく。炭水化物は、さらに小さな分子となって吸収されるものもあれば(従来炭水化物は根から吸収されないとされていました、私も大学でそのように教わったものですが、じつはそうではないらしい)、腐植に含まれるミネラルも菌類を通じて植物に供給されていきます。ミネラルは、概して移動しにくいものでとりわけ鉄などは地中にあっても、植物がリーチしにくいのですが、それを腐朽菌などが長い菌糸でリーチして植物に供給してくれる。この辺りのシステムは未解明の部分もあるのですが、森林における生物間の「持ちつもたれる」の関係が大きな示唆を与えてくれるところは、少しづつ解明されているところです。かねてから自然農では「森を倣え」ということが提唱されてきましたが、それを追うかのような趨勢と言えるでしょうか。
 
ジャングルのようだった群落が数時間で広々とした光景になるのは気持ちがいいものです。刈ったばかりは重いので、少ししんなりさせてから拾って運びます。
 
 
大きな世界の動きの中に、ピンポイントで人間を位置づけて、野菜がそだつのを手助けする。これを「~栽培」「~農法」といちいち名前付けるのも、なんだか大げさなような気さえ、してきます。
 
ただただ、気持ちが良い。
 

このように、機械も肥料も使わないで自然の流れの中に身を置いて野菜をつくる。そのことは農家でなくてもできることです。というか、自給自足の方にこそ実践していただきたいものですね。とりわけ毎年の異常気象は、従来のひたすら土を耕す農法では限界があります。かといって経営になる程度の収量を挙げるには、トラクターなどの耕耘も、どうしても欠かせないものです。
自給を志す皆さんにむけて、この秋から「さとやま農学校2019秋のショート―コース」を開催します。暑さにはあまりつよくないけれど、農的世界の入り口をまずは覗いてみたい方、春の本講座まで待てない方、どうぞご参加ください。

 

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