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1人でもできる醤油もろみの搾り

こんにちは。

 

神奈川で自然栽培をしながら都会の皆さんに農的暮らしをご紹介する講座を開催している「すどう農園」です。

今日は講座もなく、独りで静かに醤油のもろみを搾りました。
今年は本当に長い梅雨で、畑の野菜も生育が遅い。そのぶん、できることを今のうちにやっておきます。さもないと、この梅雨が明けたらまた昨年のような猛暑が来ることでしょう。

在来大豆と無農薬栽培の小麦で仕込んだ醤油もろみを搾っています。すどう農園にて
お醤油絞り@すどう農園
在来大豆と無農薬栽培の小麦でお醤油のもろみを搾る。すどう農園にて
在来大豆のお醤油絞り@すどう農園

津久井在来大豆の栽培からお醤油づくりまで

まず、昨年(2018年)までのおさらいです。
話はそもそも私たちの土地に伝わる「津久井在来大豆」の自然栽培。そしてお醤油づくりという流れに始まるのですが、この辺りは「お醤油サークル」のページをご覧ください。
津久井在来大豆の栽培については、詳細なレポート(2017&2018)もあります。

搾りの大道具は、ご近所のフェノミナラボさんに江戸時代の文献(和漢三才図会)をもとにした絞り機をつくっていただきました。ジャッキで〆る普通の搾り機は、古式豊かなものではありますが、非常に製作費もかかるし、持ち運びも簡単ではありません。たぶん「すどう農園」には身に余ることでしょう。もっと身近にある素材を使って、お金をかけずに皆で楽しくやりたい、という想いでつくった搾りの機械が、上のものです。

1枚目の写真は、皆で搾りをしているところ。
2枚目の写真のように、香ばしい醤油が走り出しました。
 
さすがに、お醤油を搾るたびに人を集めるわけにもいかないし、少しづつ濃さを変えた搾り方や火入れなどしてみたいもので、今年から自走式にしました。

在来大豆と無農薬小麦によるお醤油しぼり。すどう農園にて
お醤油搾り@すどう農園 自走式にしてみました。

上の写真がそれで、人間が乗る代わりにチェーンとターンバックルで締め上げていく形です。シンプルですね。
ジャッキ式でもなんでもそうですが、圧をかけるときには様子を見ながら徐々に加圧します。だからまったくのオートメーションというわけにはいきません。それでも、いったんバックルを締め上げれば暫らくは醤油が流れてくれます。

ずうっと搾り機に張り付いていなくとも、搾る合間に、雨に濡れるブルーボリジを摘んで砂糖漬けにする。それくらいの余裕がありました。よしよし。

暗くなってから搾った醤油の火入れをします。
醤油の火入れには低温殺菌と酵素の失活(これ以上の醗酵を停める)、さらに火入れによる香り出し、という三つの意味があります。
62度で30分、あるいは75度で15秒というような低温殺菌は牛乳でも行われますね。さらに醤油の場合には、醗酵菌が死んでも醗酵の主体となる酵素が生きています。むしろ酵素の種類によっては60度を超えるくらいが一番活性の高いものもあります。例えば糀の糖化力も、その計測にあたっては60度に設定します。
なので、醗酵の働きを停めるには80度台まで熱する必要があります。
いわゆる「きあげ醤油」は、この火入れをしない生のままのものですが、瓶詰めにしたものは冷蔵していても、だんだんと醗酵が進んで便が割れてしまうこともあります。早く消費しないといけないわけです。
さて、この火入れの温度をどの程度でどのくらいの長さにするか、それはプロの醤油屋さんの企業秘密のコアです。それゆえ知る由もないのですが、やりすぎたら香りも飛んでしまうことでしょう。まずは殺菌と酵素の失活を前提に火入れをします。

上の写真にあるような温度計を使って、ゆるゆると加工場に醤油の香りを立ちこめながら火入れ。
うちの加工場は、季節季節で、色々なにおいが立ち込めるもので、こないだまではヨモギのペーストをつくる香り、そして桑の実を煮る甘い香りが立ち込めたものでした。

3年醤油。津久井在来大豆のもの。すどう農園
火入れをした3年醤油@すどう農園

ちょっと濃い目に調整してあるのですが、思ったよりも鹹味がとんがっていなくて、マイルドな仕上がりです。
それぞれの年の仕込みによって、あるいは使った大豆や小麦の品種によって、毎年ずいぶん違う。まるでお酒のようですが、これが醗酵世界のライブで深々と面白いところです。

もうじきこの長い梅雨も明けます。
梅雨が明けたら梅の天日干しです。

去年暑すぎてできなかった分が大量に梅漬けのままなのです。

すどう農園では、都会の皆さんと農的生活を橋渡しする色々な講座を毎年開催しています。
ご興味のある方は、どうぞご参加ください。

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