ダイコンの種取りの始め方
こんにちは。
神奈川・相模原(相模湖)で自然栽培の野菜やハーブを育てながら農業体験の講座を開催している「すどう農園」です。
12月は、ニンジンや大根、カブなど根菜類の種取りの準備に入る季節です。ずらっと抜いた個体を並べて種取りをする母本を選びます。元気な種を残すための大事な作業です。そして、どんな個体を残すかによって、あとあとの背外のキャラクターも決まってきます。例えば同じ「練馬ダイコン」でも、種取りをする人と場所が違えば、だんだんと別のダイコンになっていきます。味も形も違ってくる。これがつまり、その土地に根差した在来種・種取り野菜になるということです。
正月より後になると地上部が枯れてしまったり雪に埋もれたりするので、母本選抜は、12月が頃合いです。たくあんが好きなので、ダイコンの種取り品種は練馬ダイコンです。他にも聖護院や打木源助、大倉などの品種を作っているのですが交雑してしま。ので、「すどう農園」で種取りをするダイコンは練馬だけです。ダイコンの形は品種によって様々です。かつては全国に数百あったと言われるダイコンの在来種もだいぶ数が減ってきました。微妙に下ぶくれの形は三浦ダイコンなどに近いものですが、抜くときに地面の抵抗があって大変なので、高齢化の進む現在ではあまり歓迎されません。このことは、実際にダイコンを抜いてみればわかりますね。それもあって、最近の交配品種は先の方がすうっと締まっています。物流の時にこのほうが箱に収まりやすいということもあります。そんなわけで時代とともに変化はありますが、ダイコンひとつでも、その姿形は見ていて飽きません。うっとりするものです。干して吊るしたダイコンを満月の晩に眺めると、それはもう幽艶なエロチックの極みです。
種取りの母本を選ぶときの基準は様々です。まずは形と色から入るのがやりやすいですね。元気のよい種を残してくれるものは、一目見て乱れのない姿をしていること、それは今育っている畑で来年も良い種を残してくれそうだなあ、と思わせてくれるものです。よそではどんなに優れたダイコンでも、いまこの畑で適応してくれるかどうかは別の話です。気候風土にあうかどうか、その気配をつかむのは、理屈よりも何よりも。人間が虚心坦懐にダイコンと向かい合えばいいのです。
種取りダイコンの母本選びのポイント
母本に選ぶダイコンは、できれば20本くらいは欲しいところです。遺伝子の多様性が確保されます。ほかのダイコンと交雑しないような場所で、なおかつ元の畑とそれほど離れていない場所を選んで、畑を掘り下げたら斜めに寝かせて埋め戻します。来年の夏の種取りまで、あとはじっくり育っていただきましょう。春を過ぎたら色や形だけでない生理的な形質も見えてきます。蕾の咲きだす、いわゆる「とう立ち」のタイミングなど。たくあんダイコンは基本的に12月のうちに漬けてしまいますが、春先まで生食したいダイコンを選ぶのであれば「とう立ちの遅いもの・冬の寒さで凍みにくいもの・す入りのないもの」などの生理的な形質を条件に選ぶことが必要になります。そしてもちろん、味も大事ですね。ダイコンならば食感も決め手です。まずは生でかじってみて、甘い辛いはどうか、うまみはあるか、そして肉質が緻密に締まっているかなどなどを極める。そこまで行くには数年かけていく作業になりますので、まずは種を採ってつなげて、「私のダイコン・私の種取り野菜」をつくることです。これは宝物。
「首都圏から日帰りの農業体験・さとやま農学校」では、様々な野菜の種取りも習えます。2020年コースの現地説明会が、すでに始まっています。「とりあえず、どんなところか見てみたい」という方は、どうぞお越しください。じっくりご説明したいので、毎回少人数で開催していますので満員締め切りになった回もあります。本講座のお申し込みをいただいた方には、講座の始まる前から様々なお楽しみ特典があります。説明会の詳細はこちらのリンクです。
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