味噌づくりの火入れ

手前味噌の仕上げです。 

やや緩いので湯煎して水分を飛ばしています。
直火ではだめですよ。
焦がさないように40度くらいでゆっくりと。 

これ以上の温度になると低温殺菌になってしまいます。 

ちなみに、市販のお味噌は、出荷前にすべて殺菌します。
大きな味噌タンクがミキサー車みたいに回転して、そこに熱い蒸気を吹き付けて殺菌するわけです。
だから、本当に微生物のたっぷり生きた味噌を食べるなら、やはり生の手前味噌が理想です。
 
ただし、あんまり何年も寝かせておいても醗酵は勢いが失せてしまいます。酵母菌の死骸に雑菌が繁殖したのか、なんだか土みたいな香りになってくることもあります。時間がたつほど良い、というものでもないのですね。
 
お酢などもCH3COOHという示性式からすれば、あとは水と二酸化炭素になってしまうばかりのようですが、やはり酢酸菌が腐敗するので、マイクロフィルターなどでバクテリアを漉さない限り、変造していくのではないでしょうか。
 
前にも書いたとおり、この味噌は大豆に対して麹3割ほどの、規格外れに麹が少ない味噌です。
三州の豆味噌とも風味が違っていて、ゴルゴンゾーラを彷彿とする香り、というかニオイです。
 
あえてこの味噌に命名するなら
 
「花肌雲谷斎」
 
とでも。
 
プンパーニッケルみたいな重くて黒いパンにひと匙塗って、それを軽くオーブンに晒すとですね。
 
オーブンを開けたとたんに、香り濃厚です。
いわゆる麹たっぷりの香しくて甘い香りとは対を極めた感じ。
 
鷺島さんなどは、この味噌を「美味しい」と、ことのほか喜んでくださったが、あの方はアロマのプロであり左党でもあるから、これはうってつけと思います。

さて、この冬はどんな味噌にするか。
娘に口伝で教えるなら、あんまりマニアックなのでなくて、まずはスタンダードな味噌だねえ。 

雪の晩に庭で一升瓶を抱きながら大豆を茹でるところから
・・あ、ここまでは何度も教えてるんだった。