酵母は冬が旬。
朝一番にひとくち含んだときの芳香、酸味。
あれやこれの閃きかた、走りかたで、
「今日はいけそうだ」とか「?????」とか、
微妙に、ときにはあからさまに出来具合も変わってきます。
お化粧と同じですか?
年内に焼いたパンは、七草明けの一陽来復にいただきます。
せめて一週間、できれば2週間3週間は経たほうが、
自家製酵母のパンは熟成してくるものです。
逆に言えば、焼き立てよりも出来の良しあしがくっきりしてくるものです。
まるで俳優と同じだ。
若い頃の二枚目がいくつになっても顔ばかり濃くて芸風は薄い、
どうにも枯れそこなった風情の役者がいるでしょう?
「パンをそんなに長く置くのか」と言われそうですが、
昔の石窯の本では、グレーテルが魔女を押し込んだような大きな石窯で、漬物石みたいなパンを何十枚も焼いて雪に埋もれた一冬を食べ続けるのだと写真も添えてあります。
「不味そうだ」と思いますか?
サラダしか知らない人が漬物を見たら、同じように思うでしょうね。
と書いたものの。
いま主流の小麦の品種は、どうやら熟成向きでないものになっているようです。
吸水率は高くなったし、膨らむ力もあるようですが。
寝かせても熟成しない。
むしろ味が褪せてしまうものもある。
なんだこれは??
と、驚いたけれど、たぶん小麦の品種がそうなっているのだとしか思えない。国産小麦を使う有名店のパンで何件か試しても、駄目なのでした。折角の職人さんの腕が、もったいない。
そんなわけで我が家では、昔ながらの「南部地粉」でカンパーニュを焼きます。
神奈川で自然栽培と農業体験を開催している「すどう農園」では、
様々な農業体験講座・プログラムがあります。
「さとやま農学校」では、写真のような石窯の体験もします。
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