マーフィとプロスペクト

今となっては昔の話
「マーフィーの法則」というのが売れました。

カーペットにうっかりバタートーストを落としたときに、
バターを塗った面が下になってしまう確率は、
カーペットの値段に比例する・・・

というたぐいの不運なアレコレを列挙したものでした。

ネタを明かせば、つまり法則などではなくて
「人間は運の悪かったことほど忘れない」
それだけのことだと思うのです。

バタートーストを落っことしても、
幸いバターの面が上になっていた時のことは忘れている。
その逆ばかりしっかり覚えている、
ということなのでしょうね。

「プロスペクト理論」が90年代にノーベル経済学賞を取っています。
乱暴にたとえると
「1万円拾って1万円落としたら、その時の感情は差し引きゼロでなく、マイナス(損した気分)に振れる」
同じ1万円でも、拾うのと落とすのでは感情の絶対値が違うのだと。
その振れ具合を株式などのマーケット心理に当てはめました。

これは分かりやすいですね。

生き物は、リスクを回避して生き伸びるのが本能的なミッションだから、
まずは諸々のマイナス要因に敏感でないといけない。
たまたまボタモチを拾った僥倖などは、二の次なのでしょう。

台風は週末になると来る。

どうしてもそう思えてしまうのですが、
週末のお楽しみが潰れたネガティブな思い出は、
生存にかかわるほどでなくともネガティブだから、
どうしても記憶に強く残ってしまうのかもしれません。