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エルダーベリーの収穫ほか


こんにちは。

神奈川・相模原の里山で自然農を営む「すどう農園」です。

本日9月3日は、朝から果樹やハーブなど苗木類の草刈りです。苗木周辺の草を鎌で刈りました。厄介なブタクサや篠竹は初夏のうちに刈ってあるのですが、そのぶんヤブガラシなどのツル草が、今度は自分の番とばかりに果樹に絡んできます。少しでも空いた空間を、どの植物がどう占めるか、そのやり取りが真冬でも続くのです。

 

少しは夜中に雨が降ったのか、濡れそぼる草むらを踏み分けての作業。

それにしても、朝の気配もだいぶ涼しくなりました。作業がずいぶん楽です。

草刈りもしながら、スタッフのAさんはエルダーベリーの収穫。黒く熟したエルダーベリーをスタッフの皆さんがジャムにしてくれるそうで、楽しみです。

今年はエルダーが元気でした。

ここ数年、エルダーは幹の芯を虫に食害されていたのですが、いろいろと話を聞くと、どうやらカミキリムシではなくてコウモリガの幼虫だったようです。コウモリガの幼虫は、苗木が若い2,3年目を狙うらしい。コウモリガの対策としては、毎朝、幹をチェックして、新しい穴を見つけ次第にワイヤーを突っ込んで突き刺す、そのまま幼虫を引っ張り出して捕殺。

ちなみに、この時に使うのは針金ではダメです。穴の途中で引っかかってしまうので、あくまでもワイヤーの細いもの。ただし値段は高い・・・と教わりましたが、幸い今年はその必要がありませんでした。
様子が見えてきたので、今年もエルダーの挿し木を増やしていきます。

ひと夏を過ぎてみれば、エルダーの株元もだいぶ太く逞しくなって、おそらく虫を寄せ付けないほどになったのでしょう。

付け加えるならば、初夏のうちに株元近くに「大地の再生」の手法で気穴を開けました。こちらもスタッフさんの手になるものです。その好影響もあったのかもしれません。

大地の再生による気穴の話は、今月9月24日の国分寺カフェスローにて「街ではじめる大地の再生」として藤井麻紀子さんのお話を伺いますので、その時にこちらの実例として少し紹介できたらいいなと思います。

 

 

枯れ枝で編んだ「鳥の巣」と呼んでいる大きな輪。

雨雨と太陽にさらされて、細かい枝は朽ちたようだし、枝同士の重みでがっちりと締まってきました。
大地の再生の手法にも通じますが、お互いの枝同士がしがらみをつくり、隙間に虫や小動物や植物が育ってくることでしょう。枝が朽ちてきたらパッチワークのように新しい枝を挿しこんで足していく。完成形というものはなく、永遠に続きます。

中に生えてきた3m近いオオブタクサを刈りこんでそのまま敷き詰めました。オオブタクサは花を咲かせると花粉を飛ばして厄介ですが、そうなる前に刈り倒せば最良の有機質になります。さとやま農学校のハーブ園も、かつてはオオブタクサが何年も生えていた場所を整えたので、まったくの無肥料でもハーブたちが驚異的な育ち方を見せてくれます。

この先、冬になったらまた枝を新しく編み込んで、内側にもらせん状に枝を作りこんでいきます。パーマカルチャーの手法にあるスパイラルガーデンの応用です。そこにさらに枯草を積んで・・・だんだんと歳月を経て、巣はどんなふうに育つのでしょうね。まさか本当に、大きな鳥が生まれてきたりして・・・。

 

 

クロモジの再生です。

初夏に若い苗木を植えたのですが、今年の暑さで苦しい思いをさせてしまいました。

そもそもクロモジは森の中の、柔らかい日陰の中で実生から生えてくるものです。

背の高い樹木に見守られるように、ところどころに増えていくクロモジにとって、厳しかったでしょう。

それでも、真夏の間は草むらに守られるように、柔らかい新芽を伸ばしてきました。

クロモジは、もっと増やしていきたいのですが、今後は果樹の合間に日差しを避けて植えてあげようと思います。

 

レモングラスの刈り取り。

この人は手間がかからないハーブです。しかもこの勢いで他の草を寄せ付けないので、はじめだけケアしてあげればあとは心配ありません。

ただし、ここ相模湖では冬を越せないのですね。この調子でススキのように多年草になってくれたら、さらに楽なのですが、ススキと同じように抜けないほどの巨大な株になってしまうのもマズイかな。

レモングラスは、「緑の葉の部」「葉の軸」「付け根近くの太くて硬い部分」と、分かれます。お茶にするなら緑のほう、カレーなど煮込んで使うなら茎、という風に使い分けできます。もちろん蒸留も良いですね。

農園にはほかにもレモンバーベナがあり、さらに飲食にはできませんがレモンユーカリ(虫よけ専用)もあります。レモンユーカリの蒸留水は「すどう農園」でも大人気。かなり芳香成分が強くて、レモンユーカリを蒸留した後の蒸留器(アランビック)は、相当しっかり洗わないと香りが落ちません。レモンの香り御三家で、それぞれの微妙な香りの差があります。

 


おなじみホーリーバジル。南国のイメージが強いですが、このまま秋まで花を咲かせてくれます。
ハチにとっては大事な蜜源植物でもあり、香りが強いためイノシシも掘り返しません。イノシシは嗅覚が強いので、ホーリーバジルの匂いにかく乱されてしまうようです。すぐ手前まで土を掘ってもホーリーバジルには手を出さない、というかイノシシは鼻で土を掘り返すので鼻を出さないと言うべきでしょうか。

 

ハウスで実生から育てているムクロジの新芽です。実は「さとやま農学校」の卒業生の方から頂きました。子供がワッと手を広げたような新芽がかわいらしいですね。

ムクロジの丸い実は、昔ながらの羽子板の羽の頭に使われていました。今どき羽子板など見たことない人のほうが多いでしょうが、「カン、コン」と乾いた心地よい音はお正月の空に似合うものでした・・などと書いてますが、私もあんまり記憶にありません。そのムクロジの実は、サポニン成分を含むので洗濯にも使われていたらしい。洗濯機にムクロジの実を一緒に入れてグルグル回せばよいのでしょう。いまは別の商品名で販売もされているようです。

サポニン成分を含むものは、他にもいろいろあります。大豆もそうですね。でも大豆の煮汁を洗剤にするという話は聞いたことがありません。むしろこれから秋になればセイタカアワダチソウがサポニンを含むので、シャンプーになります。黄色い花が咲く直前、束の間のライムグリーンがとてもきれいです。これをお湯に入れてシャンプーや洗剤に。

 

さて9月に入り、あと2週間ほどで「さとやま農学校・秋のショートコース」も開講します。
車で来られる方の参加枠に、若干名様の空きがあります。
涼しくなって、土に向かう気持ちがよみがえってきた方。どうぞご参加ください。